最近分数コードとサブドミナントマイナーを記事にしたのですが、
それはなぜかというと、
さくら学院のmy graduation tossという曲にハマっているからです
この曲、私の世代では好きな人が多いthe brilliant greenの人が書いてるんです。
ブリグリすきだったなあ。。
噂によるとトミーが歌ったバージョンの音源もこの世にはあるとか。。
で、my graduation tossですが、
我が師、毛氏に教えてもらったところによると、
サビのコード進行はこんな感じです。
きみにおくる。。。のところからです。
キーはDメジャーですので、
Dメジャースケール : D E F# G A B C#
ダイアトニックは、まあこれポップスなんで3和音で書くと
D
Em
F#m
G
A
Bm
C#m
ってことで、ダイアトニックコードに色をつけると
分数コードが目に付きますね。
ってことでまずは分数コードについて考えます。
出てくる分数コードは
F#m/C#
Am/C
Gm/Bb
の三つ。
で、
まず、分母になってる音はみんなコードトーンですから、
どれも基本的には、
F#m
Am
Gm
じゃあなんでわざわざ分数になってるか。
最初の6小節間の、ベースの動きに注目してください。
D C# C B
ってなってますよね。
これ、半音ずつ下がってます。
こういうふうにベースラインが半音であがっていったり下がっていったりするのを、
ラインクリシエって言ったりします。
(元々ラインクリシエは、分子のコードがずっと一緒で、分母のベース音だけ動くことを指すって説もあるみたいですが、まあ大きく捉えて、同じようなことと考えていいように思います)
こう考えると、
こういうふうにベースを動かしたいって意図が、
このコードを書いた人にはあったんだなあ。。
って分かると思います。
さらにいうと、この最初のコード進行(分子だけ)、
D F#m Am B7
これを見たとき、我々べーシストとしては、
あーこれクリシエできんじゃん。
とパッとわかるようになりたいところです。
で、
1番は普通にルート弾いて、
2番はクリシエして、
とか。
コード名みた瞬間にコードトーンの名前が出るって大事ですね。
というわけで、分数コードは、こんな感じでベースラインをスムーズに動かすために使われることが多いので、その例としてご紹介でした。
で、次。
1行目はダイアトニックだからまあいいとして、
2行目、
Am B7 Em7
って進行。
これ、コードの響きを聞いてもらうと分かりやすいですが、
Eに向かって落ち着く進行ですね。1番の歌詞で宝物をあつめたところです。
あつめたんです。過去形です。従ってコード進行も一度落ち着くわけです。
サビのメロディーもEのところでひと段落ですよね。
ここはやっぱりB7に注目ですね。
BからEで4度上に進行してるし、ドミナント7ですから、
B7-Em7はEマイナーのファイブワンです。落ち着くはずです。
で、あーここじゃあキーがEマイナーって考えてもいいのかなって考えると、
その前のAmは普通にEマイナーキーのダイアトニック、IVmって考えられるので、
4-5-1っていう超基本進行だってわかります。
で、Em7はDメジャーキーのコードですから、
Em7でDメジャーに戻ってきてるわけです。
戻ってきたんですが、
次もダイアトニック以外のコード、 Gm/Bbです。
Dメジャーで考えると、
Gは4番目のコードで、G(G△7)のはずのところ、
Gmになってるわけです。
あれ、これどっかでみたことある
4番目のメジャーコードがマイナーコードになってるわけです。
もうお分かりですね。
こいつサブドミナントマイナーです。
しかもですね、
Em7 から Gm/Bbの流れ、
気持ちいいですよね。
Em7 は E G B D
ここから G Bb D
これ、実際変わってる音は、Eが抜けて、BがBbに半音下がっただけです。
こんな感じで、音があんまり変わらないコードチェンジは自然に感じるらしいんですね。
自然な感じでサブドミナントマイナーであるGmに移行したわけです。なんならBbをルートにすることによって(*サブドミマイナーに大事なのは短6度の音でしたね。キーDメジャーで短6度はBbです。)サブドミ感を強調されています。
ナイスです。
卒業の切ない感じがこれでもかと現れていますね。
こんなところでボーカルが能天気な感じで歌い出したら殴り飛ばして大丈夫です。
長くなりましたがここまで来たら最後まで行きましょう、
GmのあとトニックであるDからEmに行った後、
なんと E に行っちゃいます
EmからEなので、Gbの音がGに上がったわけですね。
EmとEは似たコードなので、この流れは自然だし、
マイナーコードがメジャーコードになってるからなのか、
響きとしてはなんかちょっと前向きというか、前進してるっぽい流れですよね。
でもルートはEのままだから、なんかほんと、ちょっとだけ前進みたいな。
勇気を出して歩き出そうみたいな。小さいけれど大きな一歩みたいな、そんな卒業式感。
で、つぎはダイアトニックのVとIVを繰り返して、
しっかりキーに戻ってDに戻るんですけど、
これ良く考えたら、
Em7 E A の流れ、
EからAは上に4度ですね。
ってことはこれ、 Eのとこ、 たぶんE7でも合いますね。
直前Em7で短7度の音も元々鳴ってるし。
で、AはもともとDメジャーキーのVコードなので、機能上はA7と考えてよく、
そうすると
Em7 E7 A7 D ってなります。
E7は、キーDのドミナントA7に対するセカンダリドミナントですね。
こういうふうに、もともとのドミナントに対するセカンダリードミナントのことをダブルドミナントとか、ドッペルドミナントとか呼ぶそうです。
他のセカンダリードミナントと違うところは、当たり前ですが、セブンスコードが並ぶってとこです。
セブンスコードが並ぶと、調が解決しないまま世界が変わる(転調する)っぽく聴こえるので、これをつかっていつまでも転調ができたりするわけですが、
*この技についてはセカンダリードミナントについての過去記事参照
ここね、
Gmで一度おもいっきり切なくしといて、
Em7 E(E7) でちょっとだけ前進して、
でA(A7)に世界が変わるわけです。
でね、
このEm7 E Aのところ、
歌詞みてみると、
”いつでも思い出せる”
って歌ってます。
ああ。。。。なんて切ない前向きさ。。。。
完璧です。
つまりなにがいいたいかと言うと、
Gmのところで明るく歌うやつは殴ってよし
これです。
おあとがよろしいようで。