2017年8月22日火曜日

ベース練習日記68 分数コードとサブドミナントマイナーを使った曲を分析してみる


最近分数コードとサブドミナントマイナーを記事にしたのですが、
それはなぜかというと、



さくら学院のmy graduation tossという曲にハマっているからです






この曲、私の世代では好きな人が多いthe brilliant greenの人が書いてるんです。
ブリグリすきだったなあ。。
噂によるとトミーが歌ったバージョンの音源もこの世にはあるとか。。



で、my graduation tossですが、
我が師、毛氏に教えてもらったところによると、
サビのコード進行はこんな感じです。
きみにおくる。。。のところからです。
















キーはDメジャーですので、
Dメジャースケール : D E F# G A B C#

ダイアトニックは、まあこれポップスなんで3和音で書くと


Em
F#m


Bm
C#m


ってことで、ダイアトニックコードに色をつけると



















分数コードが目に付きますね。
ってことでまずは分数コードについて考えます。



出てくる分数コードは

F#m/C#

Am/C

Gm/Bb


の三つ。




で、


まず、分母になってる音はみんなコードトーンですから、


どれも基本的には、

F#m
Am
Gm

と考えていいですね。




じゃあなんでわざわざ分数になってるか。


最初の6小節間の、ベースの動きに注目してください。



D C# C B 


ってなってますよね。
これ、半音ずつ下がってます。


こういうふうにベースラインが半音であがっていったり下がっていったりするのを、
ラインクリシエって言ったりします。
(元々ラインクリシエは、分子のコードがずっと一緒で、分母のベース音だけ動くことを指すって説もあるみたいですが、まあ大きく捉えて、同じようなことと考えていいように思います)


こう考えると、
こういうふうにベースを動かしたいって意図が、
このコードを書いた人にはあったんだなあ。。
って分かると思います。


さらにいうと、この最初のコード進行(分子だけ)、


D F#m Am B7 


これを見たとき、我々べーシストとしては、
あーこれクリシエできんじゃん。
とパッとわかるようになりたいところです。

で、
1番は普通にルート弾いて、
2番はクリシエして、

とか。
コード名みた瞬間にコードトーンの名前が出るって大事ですね。




というわけで、分数コードは、こんな感じでベースラインをスムーズに動かすために使われることが多いので、その例としてご紹介でした。




で、次。


1行目はダイアトニックだからまあいいとして、

2行目、
Am B7 Em7

って進行。

これ、コードの響きを聞いてもらうと分かりやすいですが、
Eに向かって落ち着く進行ですね。1番の歌詞で宝物をあつめたところです。
あつめたんです。過去形です。従ってコード進行も一度落ち着くわけです。
サビのメロディーもEのところでひと段落ですよね。

ここはやっぱりB7に注目ですね。
BからEで4度上に進行してるし、ドミナント7ですから、
B7-Em7はEマイナーのファイブワンです。落ち着くはずです。


で、あーここじゃあキーがEマイナーって考えてもいいのかなって考えると、
その前のAmは普通にEマイナーキーのダイアトニック、IVmって考えられるので、
4-5-1っていう超基本進行だってわかります。


で、Em7はDメジャーキーのコードですから、
Em7でDメジャーに戻ってきてるわけです。


戻ってきたんですが、

次もダイアトニック以外のコード、 Gm/Bbです。



Dメジャーで考えると、

Gは4番目のコードで、G(G△7)のはずのところ、

Gmになってるわけです。



あれ、これどっかでみたことある



4番目のメジャーコードがマイナーコードになってるわけです。


もうお分かりですね。


こいつサブドミナントマイナーです。



しかもですね、


Em7 から Gm/Bbの流れ、
気持ちいいですよね。


Em7 は  E G B D

ここから   G Bb D


これ、実際変わってる音は、Eが抜けて、BがBbに半音下がっただけです。

こんな感じで、音があんまり変わらないコードチェンジは自然に感じるらしいんですね。

自然な感じでサブドミナントマイナーであるGmに移行したわけです。なんならBbをルートにすることによって(*サブドミマイナーに大事なのは短6度の音でしたね。キーDメジャーで短6度はBbです。)サブドミ感を強調されています。


ナイスです。


卒業の切ない感じがこれでもかと現れていますね。



こんなところでボーカルが能天気な感じで歌い出したら殴り飛ばして大丈夫です。



長くなりましたがここまで来たら最後まで行きましょう、
GmのあとトニックであるDからEmに行った後、


なんと E に行っちゃいます


EmからEなので、Gbの音がGに上がったわけですね。
EmとEは似たコードなので、この流れは自然だし、
マイナーコードがメジャーコードになってるからなのか、
響きとしてはなんかちょっと前向きというか、前進してるっぽい流れですよね。

でもルートはEのままだから、なんかほんと、ちょっとだけ前進みたいな。
勇気を出して歩き出そうみたいな。小さいけれど大きな一歩みたいな、そんな卒業式感。


で、つぎはダイアトニックのVとIVを繰り返して、
しっかりキーに戻ってDに戻るんですけど、


これ良く考えたら、

Em7 E A の流れ、

EからAは上に4度ですね。


ってことはこれ、 Eのとこ、 たぶんE7でも合いますね。
直前Em7で短7度の音も元々鳴ってるし。

で、AはもともとDメジャーキーのVコードなので、機能上はA7と考えてよく、

そうすると

Em7 E7 A7 D ってなります。
E7は、キーDのドミナントA7に対するセカンダリドミナントですね。

こういうふうに、もともとのドミナントに対するセカンダリードミナントのことをダブルドミナントとか、ドッペルドミナントとか呼ぶそうです。

他のセカンダリードミナントと違うところは、当たり前ですが、セブンスコードが並ぶってとこです。


セブンスコードが並ぶと、調が解決しないまま世界が変わる(転調する)っぽく聴こえるので、これをつかっていつまでも転調ができたりするわけですが、
この技についてはセカンダリードミナントについての過去記事参照



ここね、



Gmで一度おもいっきり切なくしといて、

Em7 E(E7) でちょっとだけ前進して、

でA(A7)に世界が変わるわけです。





でね、

このEm7 E Aのところ、

歌詞みてみると、


”いつでも思い出せる”


って歌ってます。



ああ。。。。なんて切ない前向きさ。。。。





完璧です。





つまりなにがいいたいかと言うと、



Gmのところで明るく歌うやつは殴ってよし



これです。
おあとがよろしいようで。

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