始めてチャンギ空港の空気を吸ったとき聡子の頭にあったのは、マーライオンやきれいな夜景やビーチパーティだった。日本人の友達もシンガポール人の友達も西洋人の友達もたくさんいる自分、ちょっとだけ着飾ってお酒を飲む自分もTシャツ短パンにサンダルでフードコートでチキンライスを食べる自分も好きになれる気がしていた。
それから1年
住んでいる部屋にも、
インド人とシェアしているリビングにもトイレにもスパイス臭いキッチンにも、
One AltitudeにもCe La ViにもZoukにも、ラオパサにもマックスウェルにも、タンジョンパガーにもオーチャードにもゲイランにもセントーサにもクレメンティにも、
そんな自分はいなかった。
いたのは8時すぎに会社にむかい7時前に帰って来て、たまに数少ない日本人の友人と食事にいくだけの自分だった。そりゃあ当然プーケットとバリには行ったし、友人かその友人の誰かが住んでいるコンドで開かれるバーベキューにも誘われれば行くし、日本人とそれ以外が文化交流を名目に集まる人間品評会的な催しにも行く。しかしそのどれも、聡子に居場所を与えてくれはしなかった。
聡子はイヤホンを耳に突っ込むと、高校生のころ練習したBump of Chickenの天体観測を久しぶりに大音量で聴きながらパソコンに向かった。リハーサルスタジオを探すのだ。聡子はギターを弾くのだ。
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シンガポールには割とたくさんリハーサルスタジオがあり、
料金は東京とおんなじか、もしかしたら少し安いかも。
なにもかも高いシンガポールにしては割安感があります。
聡子がどれに行ったのかは分かりませんが、おススメはこんな感じです。
日本のスタジオにあるような、前日まで部屋が空いてたら個人練習用に安く借りられるみたいなシステムは多分どこもやってないですが、店の人と仲良くなったら聞いてみてもいいかも。
場所によっては鏡つきの部屋もあるから、
ダンスの練習にもいいかも!大体監視カメラ付いてるから悪いことしちゃだめですよ!
Live Amp
Tanjong PagarとOutram Parkの間くらいにあるスタジオ。4部屋あるが一番大きい部屋は騒音対策のため常に使えるわけではない。機材は良く手入れされているし、きれいで立地も良いので使い勝手がよい。朝イチで予約して、行ってみたら店の奴が寝坊して待たされることが何回かあったけど、それはシンガポールにいるかぎり他のスタジオでも同じような可能性で起こる気がします。
Vault Sixty4
Chinatown の駅からPearl's Hill Terraceという坂道をのぼり、廃墟みたいなビルに着いたらさらに階段を上らないとたどり着かないスタジオ。はじめて行ったら不安になること間違いなし。2部屋しかないものの、オーナー(?)のマレー系夫婦がすげーいい人だし機材も良く、ファンが多い。ドラムのシンバルが割れてたことが一度もない(こっちのスタジオではわりとある)。お店の人に前もってお願いしたら簡単なレコーディングもしてくれるので、気になる人は聞いてみてください。
TAF@Scape
10代の若者が集うモール、Scapeの中に出来た新しいスタジオ。SCAPEはほんとに原宿っぽい。スタッフが常駐していないため、各部屋のカードキーのある場所をスタッフに教えてもらって勝手に入る。料金の支払いも、定期的に使う人はまとめて払ったりしているらしいが、部屋のミキサーの裏に置いといてくれとか言われたりする。不思議である。しかしFlagshipという大きい部屋は小さめだったらお客さん呼べるくらい広く、使い勝手は良い。
AMG
BugisとLavenderの間、Jalan Sultanにある。古いしきれいではないけど、無駄にいいキーボードが借りられたりするらしい。ドラムはあんまりよくない。ここは機材のレンタルもやっていて、イベント企画することがあれば便利かもしれない。同じ建物の一階にある四川料理屋が割と美味い。また、スタジオの向かいにある中国系KTVがいい味を出している。
Music Ensembler Jamming Studio
Dhoby GhautとLittle Indiaの間くらいにある。生ピアノが置いてある部屋があるので、それが嬉しい人にはいいかもしれない。
以下、行ったこと無いシリーズ
Shiinstudio クラークキー。
The Basement Studio Golden Mile Tower
The Music Parlour ペニンスラ。
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